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東京藝術大学 上野キャンパスは山手台地の東北端、上野台にあります。ここは縄文の頃から人の営みがある地で、江戸時代には寛永寺の一大伽藍が広がる場所でした。明治になりここに上野公園となり、本学の前身である東京美術学校と東京音楽学校がおかれました。
​この上野キャンパス構内には戊辰戦争、関東大震災、そして東京大空襲を逃れた古くから伝わる雑木の森が遺されています。

その森は学生、教師の制作のモチーフとしても親しまれ、日常のスケッチの場としても活用されてきました。開学以来多くの施設群が建築される際も開発されずに大切に扱われてきました。
​自然のまま手をつけないことを善とされ、これまではあまり本格的な剪定などは行われて来ず、鬱蒼とした深く暗いエリアでした。
その森がある時、記録的な豪雪に見舞われました。2014年2月に降った大雪は東京都内各地で枝折れや倒木をおこし、ここも大木の枝が大きく折れ、倒木もありました。

荒れてしまった大切な森を再生させる取り組みが始まりました。
おりしも、大学キャンパスの将来計画の中で植生のありようを検討していたこともあり、​我々はここを「藝大保存林」として、ここにふさわしい姿をもとめる取り組みを開始しました。

痛んだ森を観察すると、中高木の常緑樹が暗く生い茂り、特に成長の早いトウネズミモチなどの侵略的外来種により、林床には光が差し込まなず、その足元には暗い場所を好む限られた種類の植物が目立つ不健康な状態でした。
我々は本来この土地(大きくは武蔵野)にあった植生の、明るく多様で健康な森を目標としました。
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